13年前の3月8日のこと。
夕方、変な時間にダンナから電話が入った。
「なに?」
「あのねぇ。仕事でケガして指が取れそうになってるから、今から病院に行ってくるわ。」
「え~~~?何してんの~?」
「だから遅くなるわ。」
「え~~~~?わかった~~~~~~~~~。」
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と。
電話切ってしばらくしてから頭の線が一回転し、それから慌てふためくことになる。
指取れそうって超やべーじゃんかっ!!!!
ダンナは相変わらずの冷静さだった。ま、奴の事だからそうなのよね。
けど、ワタシがどうしてそれを聞いて、最初普通に話したかってのはさ。実は理由があって。
なんでかしらないけど、ワタシ、ダンナが将来指を落とすかもなぁって、頭の片隅の片隅の片隅くらいの意識の中にあって。
これ、自分でも不思議なんだけどさ。なんとなく知ってる気持ちがあったのよねぇ。。。
だから指取れたって言われても『あ、やっぱりそうなるのね』ってどっか思ってたのよ。
けど現実にそう言われちゃうとそれはものすごく大変なことなのは当たり前で。
すぐに折り返し電話したけど、病院だから電源切ってたのかまったくもって捕まらず。やきもきしながら帰宅を待っていたのですが、その後3時間ほどして帰ってきたダンナの指はグルグル巻き状態。けどやっぱり当の本人はケロッとしたままで。
その当時のやつは。
工事現場なんかで使う、鉄板のリース会社に勤めていた。戻ってきた鉄板をまた平らにするいつもの作業中に、なんかの拍子で指を挟んでしまったんだと。魔がきたんだろね。
そんでもね。
指が取れるかもって言ってたけど、幸いにも取れはしなかった。
ただ挟んだ拍子に爪はぶっ飛び、7年経った今もほんのちょっとの変形が残り、ほんのちょこっと感覚はないんだと。
それでもまぁ動いてるからね。
悪運の強いオトコだよ。ほんと。
ちなみにちょっとした変形は指が縦に伸びたので、我が家では「ニョロニョロ」と呼んでおります。
ニョロニョロ。
指がこんなふうに伸びちまったのさ
ま。そんなたわいもない話。
・・・なのだがね。
ワタシがこの日の日付を、手帳も見ずに今も思い出せるのはわけがある。
その日の三日後。
2011年3月11日。
あの大震災が起きた。
指のケガのおかげで、仕事を休んでいたダンナ。
包帯グルグル巻きの指だったけど、この世の終わりだとパニックに陥っているワタシを脇に抱え、車や電柱がおもちゃのように揺れる外をじっと眺めながら、いざとなったら逃げられるよう玄関を開けて外の様子を見ていたダンナ。
前々から言ってたのさ。
うちのダンナは普段はな~~~んも役に立たないけど、たぶん一生に一度くらいな規模の非常時にだけは活躍するだろうなぁってさ。
この部分の予感ものちのち当たったなぁと思ったもんだ。
余震の激しかった1ヶ月まるまる、労災認定で休んでいたダンナ。実際は家でゴロゴロしてただけだけどさ。なはは。
あの時を、ピンポイントに家に在住出来てた社会人て、そうはいないと思う。
世の中がガチャガチャしてたからさ。家の中だけでも安定してくれて、ワタシ的にはやっぱありがたかったっすよ。正直。
ただ。
たぶん奴がワタシに対して使う「一生に一度」の役目があれで終わったのかもしれないと思うのよね。
そうすっと、今後はなんだ?余りか???な気分にもなる。
ま。そんでも相変わらずくだらないことをネタとして提供してくれるダンナには、もちょっとだけ価値が残ってるかね。